石田内科医院

石田内科医院|兵庫県神戸市の糖尿病・脂質代謝内科、呼吸器内科、総合内科

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糖尿病とは・・・

糖尿病とは、どんな病気ですか?

~発見を遅らす自覚症状のなさ~

膵臓(すいぞう)から出るインスリンというホルモンの働きが低下することで、血液中の糖濃度が高くなる結果、糖だけでなく、たんぱく質や脂肪の代謝異常も引き起こす病気です。有効な治療を行わないと、長い間に網膜や腎臓、神経の障害が進行したり、さらには心臓、下肢、脳の動脈硬化を引き起こし、全身の血管が詰まって破れることもあります。

自覚症状はあるのですか?

初期の段階では、ほとんど無症状といえます。血糖コントロールがうまくいかないと、血液が高血糖状態になる結果、のどが渇くとか、多飲多尿になる、やせるといった症状が現れます。症状が悪化すると、この病気特有の神経症や網膜症、腎臓の障害がでてきます。神経症には足のしびれ、痛み、まゆみ、下痢、便秘、排尿の障害、インポテンツなどが挙げられます。むくみが出たりするのは、腎臓障害が原因です。初期ではほとんど自覚症状がないので、発見が遅れたり、症状が出ているにもかかわらず放置されることが少なくありません。

検査ですぐに分かるのですか?

~糖尿病には多くの因子が絡み合う~

分かります。
血液検査で診断するのが基準です。健康な人で70~100mg/dリットルが正常値とされる血糖値が空腹時で140mg/dリットル以上、あるいは随時の血糖値が200mg/dリットル以上なら糖尿病と診断されます。ブドウ糖負荷試験の結果によっては、糖尿病と診断されることもあります。こうした検査のほか、HbA1c(グリコヘモグロビン)検査で、過去1~2カ月間の血糖値の平均を調べることもあります。これは血糖値がどれぐらいコントロールされているかが分かる検査で、診断だけでなく治療にも役立てられる重要な指標です。

遺伝も関係するのですか?

親子間、兄弟間(第一度親近)の遺伝は濃厚といわれていますし、一卵性双生児での発症一致率は95%以上という報告もあります。近年、遺伝子分野の研究は目覚ましく、糖尿病の原因となる遺伝子が次々に発見されています。インスリン、インスリン受容体、グルコキナーゼ、ミトコンドリアなどの遺伝子異常との関係が解明されてきました。また、単一の遺伝子だけで引き起こされる病気ではないことも分かってきました。
確かに遺伝子が絡む病気ではありますが、遺伝子を持っているから必ず病気になるということでは決してありません。生活習慣、食生活などの環境因子も含めて考えなければいけません。その逆に、親近の人に糖尿病の人がいなくても、糖尿病になることもあるわけです。

どんな治療法があるのですか?

~血糖毒という新しい考え方も~

すぐにインスリン注射と思う人もいますが、皆が皆この注射が必要なわけではありません。長期間にわたって膵臓に負担をかけた結果、膵臓がインスリンを作れなくなった時には注射が必要です。また、特殊な例として、手術前後、妊娠時、糖尿病性こん睡に陥った時や若年発症型糖尿病の人には必要な治療法です。
近年、血糖値を下げる内服薬の種類も増えています。膵臓からインスリンは出ているのに、インスリンの作用がうまく伝わらないのが原因という人に対しては、インスリン作用を増強させる薬が開発されました。糖尿病の発症メカニズムの解明が進むと同時に内服薬、インスリン製剤も次々に開発されています。
遺伝子、環境因子も含め様々な角度から究明が続けられ、血糖値がなぜ高くなるのか個々の患者について判別できるレベルに徐々に近づき始めています。それだけ治療の幅も広がってきているのが現状です。

新しい治療法もありますか?

インスリンと絡みますが、血糖毒ということが最近注目されています。高血糖は身体に毒で、インスリン分泌や、筋肉、脂肪組織でのインスリンの働きを妨げるという考えです。この毒を抑えるのに、インスリン注射を短期間行う新しい治療法も用いられるようになりました。

ほかの病気の治療も難しくなると聞きますが?

経口の血糖降下剤を服用している人の外科手術です。手術前後の血糖コントロールは厳格になされるべきで、それについては担当医師が十分に留意しています。

ほかの治療法は?

~予備軍の時期からの留意が一番~

これまで挙げたのは薬物療法についてですが、何といっても一番大事なのは、運動療法と食事療法です。糖尿病は近年、私たちの生活の欧米化に伴って、一千万人を超えるまでに急増しました。厚生省も成人病から生活習慣病という表現に変えているぐらいです。カロリー過多と運動不足が大きく関係している病気だといえます。
まず、運動療法については心臓が悪くない、眼底出血がないことを確認してから行うべきです。
食事療法については、原則として何を食べたらダメというものではなく、標準体重に応じたカロリー量をバランスよく糖質、たんぱく質、脂質から取り、ビタミン、ミネラルも十分に取ることです。食事療法のメニューを示すと、量が少ないと言う人がいます。しかし、一般成人が一日に必要な2,200~2,400kcalに比べると、明らかに食べ過ぎだったわけです。糖尿病食メニューにして、適度な運動をすれば、生活習慣病になる確率はグンと低下するはずです。

予防はできるのですか?

明確な予防法は、現在のところありません。しかし、40歳を過ぎたら要注意。45歳を過ぎたら糖尿病予備軍ととらえ、食生活、飲酒、喫煙、休養、運動習慣などを見直して健康に暮らしたいものです。